夢ニッキ

ユメみた猫の話

現世に戻る電車の夢の話

夢の中で広い神社を観光していた。

神社はとても広いのに
人っ子ひとり居なかった。
陽気な春を感じるあたたかい雰囲気だった。

そろそろ帰らなきゃ、と思い
神社の入り口へ向かった。
紅い大きな木製の門と石畳が見えた。
そこは改札になって居て、
すぐ電車に乗れる仕様だった。

さっきまで誰も居なかったのに、
門は初詣並みの人で溢れかえって居た。
電車に乗れないとまずい!と焦りながら
和服を着たおばさんにお金を払い、切符を買った。

お釣りが一万円札だったけれど
夢の中の一万円は、とてもレアだった。
紙にホログラムが貼ってあるようで
とてもキラキラして居た。
形も少し寸胴な長方形で、
壱蔓円とかかれていた。

切符をくれたおばさんが
「ラッキーだね。いいことあるよ」
とにっこり笑ってくれた。

門にいる人の波を押し分け、
何とか駅のホームに来た。
しかし、何だか様子がおかしい。
いつまで経っても電車は来なかった。

そのうち周りにいる人たちが狂い出した。
「電車は来ない」「もうだめだ」と
互いの首を締めあい始めた。
そして皆、体がみるみるうちに灰のように
サラサラと飛ばされ白い骨がむき出しになった。

私は一目散にホームから逃げ出した。
ここら辺の記憶が曖昧だけど、
タイムリープしているようで
同じ場面を二、三度繰り替えした。

どう足掻いても電車が来ず、
みんな取り憑かれたように
首を締めあい白骨化してしまう。

4度目くらいで、私の体は
なぜか液体状になっていた。

門に行辿りつくまでに、石畳の橋が
いくつも渡るのだが、その橋の上で
私は大きな水たまりの塊になっていた。

綺麗な着物が風に飛ばされ、
水たまりになった私の上にぷかりと浮かんで居た。

私はその着物を羽織り、
(今は水たまりだから実際は羽織れないが、
感覚的には手足をぐんと伸ばして羽織っていた。)

そのまま空を飛んでいるように
ひゅるりひゅるりと地面を這って進んでいった。

また門までたどり着いた。
今回は誰も居らず、むしろ
今までいた人々が幻だったのだと直感で思った。

今思えば、あの白骨化していった人たちは
みんな古い着物を着ていた。
もしかしたら、この神社から出れず
死んでいった人たちなのかもしれない。

早く、早く電車きてと
静かに、懸命に心の中で電車を呼んだ。

普通の電車が、極当たり前にやって
私を乗せていった。

降りた先には、休憩所があり
ストーブが置いてあった。
空はとても青かった。

改札で切符を通した後、
全然知らない名前の紙を渡された。
男の人の名前だったと思う。

しまった、切符の名前が違うって
怪しまれるかな?と不安に思ったけれど
まあきっと大丈夫だろうと思い直した。

2017.01.10