夢ニッキ

ユメみた猫の話

誰もいない商店街の夢の話

さいころ何度も同じ夢を見た。

その夢は、よく行く商店街の中に
いるとこからはじまる。

ハッと気づいたら
いつも商店街の入り口に立っている。

夢の中はいつだって真夏日で、
太陽の日差しがやたらにキラキラと
眩しすぎた。

私の格好も夏服で
麦わら帽子をかぶっていた気がする。

蝉が騒がしい、夏の日なのに
何故か商店街には誰もいない。
少し涼しさすら感じるほどだった。
いつだってその夢の中は
人の気配が全くない。

世の中から人が消えたら
きっとあんな感じなんだろうなと思う。

誰もいない商店街を進んで行くと、
商店街の道のど真ん中に
駄菓子屋が現れる。

その駄菓子屋は、
現実の世界には存在しない
夢の中だけの駄菓子屋だった。

駄菓子屋の屋根に
風鈴が括り付けられていて
チリーン、チリーンと
静かに冷たく鳴り響いていた。

苺のビニールボウルも風に揺れている。
駄菓子屋の外に出ている
アイスクリームの冷凍機器は
電源が入っておらず暗かった。

いつも夢はそこまでだった。
私は、駄菓子屋の前に立ち
駄菓子屋の中に入るわけでもなく、
ただただ静かに商店街を駆け抜ける風と
その風に揺れる風鈴の音を聞いていた。

いつしかこの夢を見なくなってしまったけれど
またあの夏の日に帰りたい。