夢ニッキ

ユメみた猫の話

2019年初夢の話

私は海のど真ん中に浮かんでいた。

”私”といっても姿外見は、
メガネの中学生くらいの男の子に変わっていた。
(ややこしいので以下、一人称を”僕”にする)

少しあたたかい日差しの中、
海のど真ん中でただただぷかぷか浮かび
ただただ青い空を見上げていた。

本当は僕以外にもう一人女の子がいた。
僕の姉だ。姉は、上昇気流が発生した時に
そのまま雲を掴んで海を脱出した。

上昇気流と言っても本物ように風は起こらず
海の上から空に向かって長く長く
螺旋状の雲が続いていた。

僕も上昇気流に乗って姉と一緒に
脱出すればよかったんだけど
なんだか戸惑ってしまった。

海を出ることが不安だったし、
若干面倒に思えた。
迷っているうちに姉と雲は消えてしまい、
静かな海と空だけが残った。

そしてじわじわと、後悔が胸に広がっていった。
僕も姉と一緒に行くべきだった。
迷うことなんか無かったんだ。

仕方ない。次の上昇気流が現れた時は
必ず上へ登ろう。
心に強く誓いを立てて、
ひたすら上昇気流の発生を待った。

幾日かたったある日、
海の中からレンガ造りの塔が飛び出した。
あまりにも突然でビックリする暇さえなかった。

レンガ作りの塔の窓から、
大量の焼きそばが出てきた。
本当に大量だった。
窓が焼きそばでみっちり埋まっていたし、
レンガの塔から海まで届く
長い長いやきそばだった。

若干動揺したけれど
僕は焼きそばを登った。
上昇気流の雲ではなかったけれど
まあ、いいだろう。

焼きそばを登りきり、レンガ造りの塔へ潜入した。
塔の中は外とは空間が違うようで、
ものすごく広かった。
塔というより城の中だった。

城の中には城らしく、兵士や給仕、執事がいた。
普通の村人っぽい格好をした人もいた。
とにかく、大勢の人がいた。

その大勢の人たちが、
僕を見るなり皆一様に歓喜を上げていた。
敵視されなかっただけマシなのだろうが、
赤の他人から物凄く嬉しそうにされるのも
理由が分からず気持ちが悪い。

僕に声をかけようとする城の住民を振り切って
城中を駆け巡った。
駆け巡ったせいで外部の者が来たことを、
ご丁寧に自分から城の全員に伝えてしまった。

広場を通り、庭園を駆け抜け、
王の玉座の前まで来た。
この頃には、海は跡形もなく消えていて
完全に城の空間になっていた。

王冠を被り赤いマントを羽織った
如何にも感満載の王様は
僕のことを「勇者」と言った。

この城(というか国)の人々は
長い間”勇者”を待っていたらしい。
いつの日か、勇者が現れ
この国を救ってくれる時を。

とは言ってもぐるりと見渡した限り、
皆元気そうだと感じた。
城の外も青々とした畑や草原が広がっていて
とても困っているようには見えなかった。

一体何を助けないといけないのだろう?
本当に僕にできることなのだろうか?
と悶々と悩んでいると、
王様がとんでもないことを言い出した。

勇者として、この城にずっと居るように。
王様はそう言った。
ずっと!?冗談じゃない!!と叫んで、
うさぎが跳ねるように駆け出した。

僕の足はとても速く、
引き留めようとする誰も僕を止められなかった。
庭園を抜け、広場を通り、
城の門を力の限り押し、外へ飛び出した。

と思ったら、人が行き交い、
ビルや道路が立ち並ぶ都内に居た。

姿は相変わらず男の子のままで、
いつの間にか白いガラケーを握りしめていた。
ガラケーの着信音が鳴る。

急いで電話に出ると、
「大変でしたね。ですがバイトはバイトなので、
あなたが(王様の申し入れを)断ったんですから
今回の報酬は無しですよ♪」と
やけに明るく弾んだ声の女性が一方的に話しかけ、
通話が切れた。

そうだ、思い出した。
僕はバイトをして居たんだった。
どんな依頼が来るかは分からないが、
依頼の報酬は全て自分のもの。
というバイトだった。

まさか別世界で勇者として永久移住してほしい。
なんて依頼が来るとは思いもしなかった。
このバイト辞めようかな…と思った。

実はこの夢の続きはあるんだけど、
あまり長く書き連ねるのもだるいので
簡潔に書くと、僕はバイトを辞めてはいない。
ただ異世界へ行くことにはとても注意深くなった。

ところがどっこい、
異世界へ行くような依頼ばかり来る。

しかも依頼はいちいち事前に説明されず、
突然重力の向きが逆になったり、道路が割れたりして
突然異世界へ引き込まれそうになる

とにかく異世界へは行かない!!と
必死に抗っているところで目が覚めた。
新年早々長い、長い夢だった。

2019.01.02